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とらころーる

おそ松さんのとりこになったとらこ

ステージ型二次創作としての落語松

f:id:torakono:20160911193447j:plain (いらすとやより。まさかこれがあるとは)

 

 

昨夜、オタク落語家こと春風亭吉好さんの「落語松in蒲田」に行ってきました。

 


お目当ての「死神松」、やはり後半の緊張感が凄まじくてドキドキしました。
早ければ冬コミでCD出るようですが、ぜひ現地でピリッとした空気と一緒に楽しんでみてください。

 

で、この「死神松」、2回見てもやっぱり二次創作の形としても興味深かったので、そのことを簡単に書いてみることにします。
ステージで披露される二次創作としての落語松のお話。

 

 

明確なネタバレは書きませんが、演目の一部を説明するのでネタバレ避けてる人は読まない方がいいかもです。
あとカップリングの話題も含むので、苦手な方は要注意。

 

 

 


あらためまして、まずは名作落語「死神」についてざっくりとしたあらすじを。

 

金に縁がないダメ旦那がある日死神に出会い、『病人の枕元に死神がいるときは助からない、足元にいるときは呪文で死神を追い払えば病人は助かる』『枕元にいる死神には決して構うことのないように』ということを教えられる。その言葉を信じて医者紛いのことを始めてみると、旦那の「治ります」「助かりません」は百発百中だと噂になって、苦労せず大金持ちに。そんなある日、大金持ちの屋敷からお声がかかり行ってみると、残念なことに死神は病人の枕元に坐している。助からないと告げるも、「どうか助けてください、お礼は弾むので!」と目ん玉の飛び出るような金額を提示され、金に目が眩んだ旦那は死神の言いつけをやぶり…

というものです。


「死神松」においては、死神役は松野家のダウナー担当四男一松、ダメ旦那役は当然のことながら長男おそ松。
(※噺の中で明確に"一松"という名前は出てきませんが、『紫色の着物を着て、猫背で、猫を1匹従えて、おそ松と同じ年頃で』という描写から明らかにそれと分かる感じ)


死神と出会って、死神のことや呪文のことを教えられ、医者を勧められる流れは古典落語通りなんですけど、医者を勧めるところで一つアレンジが。

 

死神一松は言います。

「医者はいいぞ……儲かるぞ……」

 

そして
「医者はいいぞ……保健医もいいぞ……」


「保健医もいいぞ」で会場は大笑いするんですけど、このくだりがすっっごく印象に残ってて。


だって、「医者はいいぞ」「保健医もいいぞ」って、
文字だけ読んだら、単に"医"のつく職業の提示じゃないですか。
(「そもそも保健医じゃなくて養護教諭では」という話は置いておきます)

 

 

それに対して笑いを感じられるってことは、つまり

・(好き嫌いは別として)一松×カラ松のカップリングが人気なことを知っている

・yahooブラウザゲーム『トト子に貢ぎ隊(2016.4開始)』を知っている
(→出典は知らないにしても、公式でそういうイラストがあることを知っている)

・一松が「保健医」、カラ松が「バスケ部員の中学生/高校生」とされて爆発的に流行っていることを知っている

・その2人の派生カップリング、いわゆる保|バスの主流設定を知っている
 (天真爛漫なバスケ部員カラ松と、鬱陶しがるけど案外まんざらでもないor生徒に執着する保健医一松)


上記の前提をクリアしているということで。

 

そういう人だけが、「保健医もいいぞ」の8音でドッと笑うんです。

 

もう、ハイコンテクストの極み!!!

 

 

 

f:id:torakono:20160911194311j:plain

(保健医一松先生)

 

 

 

昨夜の入りは15~20人位だったのですが、夏の落語松のときは250人位が入ってたらしいんですよね。
私も含め「保健医もいいぞ」で笑う人が大勢いて、会場全体がワッと沸いたあの瞬間のことは今でも覚えています。
瞬間的な反応っていうのかな、一般的な言葉ではあるけれど明らかにカプを意識したソレに『ピンとくる』人がいっぱいいて、笑いに包まれて……っていうのを肌で感じて、無性に嬉しかったんです。

あらためて当時のことを考えてみると、『二次創作を楽しんでる人がこんなにいるー!』っていう感動だったのかも。

(ちなみに、昨夜の蒲田では、「保健医とかいいぞ……バスケ部とも仲良くできる……」みたいにセリフが変更になってました)

 


いわゆる二次創作って、同人誌を発行したりイラスト・小説をpixivに投稿したり動画を作ったりっていうのがメインで、描き/書き手が生み出してくれたものを1人で楽しむものが大多数だと思うんです。
友人同士で好きな薄い本持ち寄って「やばい泣ける;;;;」って感想を言い合ったり、ニコニコ動画にコメントつけて弾幕がずらり並んだりっていうのは珍しくないけれど、その創作物を楽しんでいるその瞬間は作品と自分だけの一対一ですし。

 

一つの作品を好きな人が同じ場所に大勢集まって、ステージの上で披露される二次創作作品を味わって同じタイミングで笑って、客席からの一言が作品に反映されたりして……
春風亭吉好さんの『落語松』ではそういう楽しい体験ができるので、二次創作に嫌悪感がなく、地雷持ちでないのであれば、おそ松さん好きな方は一度見てみてほしいです。
吉好さんの落語松を『話す同人誌』と称していたツイートを見かけたことがありますが、まさにそう。妄想の表現方法が違うだけ。

 

面接官あつしくんのところに松野家の面々が面接を受けに来たら?

カラ松が銭湯の番台で仕事をすることになったら?

落語「天狗裁き」の主人公がおそ松だったら?

トド松の合コンに兄たちがやってきたら?

六つ子が、裏山に出るという幽霊に会いにいくとしたら?

 

いろんなifの中のいろんな六つ子を、吉好さんがその身一つで、声色と身振り手振りを使い分けて表現しています。

(昨日の落語松では吉好さんがスケッチブックに六つ子+サブキャラを描くコーナーがありまして、ますます二次創作度が増してきました^^*)

ステージ型二次創作としての落語松、一見の価値ありですよ!

少しでも気になった方は、春風亭吉好さんのブログをチェックしてみてください♪

 

(↓チャンスがあるたび布教活動をしている私、の図)



 

二次創作とはちょっと話がズレちゃいますが、近年の、映画館にいる皆で一体感を味わう、っていう潮流は個人的には好ましく思ってます。
ここ数年の劇場上映作品に限っても、アナ雪の「みんなで歌おう」ver、キンプリ・遊戯王ゴジラ・ワンピース(new!)の応援/発声可能上映などなど。
ガルパンでは極上爆音上映を掲げる映画館もあったし、アーティストのライブビューイングなんかもだいぶ浸透してきたし……

"鑑賞"から"体験"への流れ、気になるところ。

 

二次創作はその位置付けからしてあまりオープンな形は難しいと思いますが、さかのぼれば歌舞伎も二次創作だし、そのうちステージ型二次創作の流れが来る……のかも???

 

**おまけ**

ステージ型の二次創作っていえば、東大テニミュとかBLストリップとかかな~とぽちぽち調べていたら。
気になっていたキンスト(※キンプリのBLストリップショー)が9月21日~30日に行われるという情報を得ました(((・◇・;)))
このタイミングでこれは……行けという神のお告げかもしれない……。